お盆法話2024年08月17日

日は、お暑い中、お集まりいただきありがとうございます。
7月から暑い日が続いています。
荘嚴寺では、本堂以外冷房を入れていますので、暑いので、気分が悪くなったりした場合は、無理をせず、おっしゃってください。
いつもは、説教師さんにお話をしていただきますが、今日は、僭越ですが、私がお話をさせていただきます。お時間は、20分程を予定しています。よろしくお願いします。
さて、まず、今日、皆様にお集まりしていただきましたのは、お盆法要です。お盆法要は、初盆を迎えられる方や、ご先祖様のお盆供養です。お盆とは、サンスクリット語で「盂蘭盆会」という言葉から来ています。昔、お釈迦様の弟子の一人に目連尊者(もくれんそんじゃ)という人がおりました。
母親はお金に執着し他人に施しなどしない冷酷な人でした。
自分の母親の死後、神通力を得た目連尊者が、「お母さんは今どうしているだろう。」と思い、その力で死後の世界をのぞいてみると、そこには、餓鬼界に落ちた母の姿が、
神通力で 持ってきた食べ物を母親の口に運ぼうとするのですが、それは、たちまち火となって燃え上がってしまうのでした。何とか母親を救うことはできないものかとお釈迦様に尋ねると、
「目連よ、お前の母は、生前、人に施すという事をしなかった。だから餓鬼道に落ちたのです。母の罪は非常に深く、お前一人の力では救う事はできない。お盆(8月15日)に修行僧が長い厳しい修行を終えるこの日に、全ての修行僧の徳を讃え、清らかな食事を施しなさい。そうすれば修行僧たちは、御先祖や餓鬼で苦しんでいる者のために喜んで回向してくれるだろう。この功徳によってお前の母や餓鬼道で苦しむ多くの者は全て極楽に生まれ変わる事ができよう。」
これを聞いた目連尊者は、さっそくお盆に供養の大法要を行いました。
すると、そのお経の功徳によって、目連尊者の母親はついに天上界に生まれ変わる事ができたのです。これが盂蘭盆会のはじまりです。今日は、たくさんの和尚様方が法要に来てくださっています。亡き故人が天上界へ行けるよう、ご供養いたしましょう。
さて、寿命についてのお話をさせていただきます。今、平均寿命が男性は、81歳女性は、87歳だと言われていますが、これは、あくまでも平均したことで、それぞれの寿命は、異なります。NHKの深夜宅急便という深夜放送にて、作家の伊集院静さんが出演されていました。奥さんは、女優の夏目雅子さんで、白血病を患い肺炎で28歳でお亡くなりになりました。伊集院さんは、その死がどうしても受け入れられず、仕事もやる気をなくし、数年、暮らしていたそうです。「なぜ、きれいで、女優としての才能もあり、性格もよく、だれからも好かれていた雅子が死んでしまうんだ。こんな、理不尽なことがあるのかと毎日、悔やんでました。あるとき作家の先輩とこの胸の内を話した時、その方から、「それは、寿命だよ。君が悪いんじゃない。雅子さんが悪いんじゃない。寿命なんだよ」といわれ、その時、何か、つきものが取れたような感覚だった。」と話されていました。早くに亡くなる方もいれば、100歳を超えるまで生きられる。それは、すべて、寿命だということです。
寿命とは、ことほぐ命と書きます。ことほぐということは、声を出して喜ぶということです。まさしく、お祝いの言葉がことほぐです。なぜ死んだときに寿命というのかというと、死んで良かったねではなく、お父さん、お母さんのこどもでよかったね。あなたにであええてよかったねということの喜びが寿命という言葉になります。人生は、自分の命が無くなるまで、別れと出会いを繰り返して行きます。年齢を問わず、様々な人との出会い、それは、愛する者と離れなければならないというつらさでもあるのです。その言葉は、「愛別離苦」出会えば、別れなければならないという苦悩を私たちは、抱えて生きているのです。
初盆を迎えた故人も様々な人生があり、その人生に終止符をうちました。その別れは、とても、つらく、寂しいものでしょう。「なぜ、死んでしまったの?ではなく、今まで、出会えてありがとう。私に命を授けてくださってありがとう。あなたが、生きている間に私たちにくれたたくさんの笑顔に感謝します。」という想いでこれからも前に進んでいきましょう。本日は、寿命のお話と、愛別離苦(別れていく苦しみ)についてお話をさせていただきました。暑い中、拝聴ありがとうございます。

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